Re: 僕の言葉、君に捧ぐ。


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なし Re: 僕の言葉、君に捧ぐ。

msg# 1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 投稿日時 2019-1-9 23:33
kyou1102  懸賞金1億ベリー   投稿数: 895


電車から降り駅の改札口を抜けると
同じ電車に乗っていた澤田と矢野と渡辺が、こちらに気づき声をかけてきた。

「おっはよー!」
「おお!香織に矢野っちに、澤田さん!同じ電車だったのか!」
澤田さんだ!朝から通学一緒だなんて、凄く幸せだなー。
「あれ?園部君と中野君って仲いいんだね」
矢野の問いかけに直樹が自然に受け答えしている。
いいな。僕もあれぐらい女子と自然に話せるようになれたらな。と思っていると
直樹が僕にアイコンタクトを送っているように思えた。

うん?なんだろう。なんだか凄く直樹がこっちを見てくる。

「てか香織。お前矢野っちに言ってねぇのー?俺達幼馴染だって事ー」
「えー。そんなん言う必要ある?」
「ひっでー!小学校の時一緒に、カブトムシ取りに行った仲じゃん!!」
「馬鹿ーッ!!小学校の話でしょー!!」
「えー!香織。カブトムシとか好きなの?」
「違~うッて!!直樹が無理やり誘ってきたの!!」

「仲いいんだね。香織と中野君」
「そうだね。あいつら小中学校一緒だったからさ」
って。えーっ!?澤田さんから話かけられたの!!??
直樹の方を見ると、凄く嬉しそうに僕の方を見ている。
すかさず少しずつ距離をあけようと足早に進もうとする直樹。

「他にもあるぜー香織の恥ずかしい話。小5の時にさー間違えて小1の弟の制服着てきてさー。」
「ちょっとやめて!!その話!!無茶苦茶恥ずかしい話じゃん!!」
「えー!?何それ!聞きたい!その後どうなったの??」

「そう言えばちゃんと話すの初めてだね」
澤田のお淑やかな声が、僕の耳にすーっと入り込んだ。
「そ・・・そうだっけ?そうだね!同じクラスだけど ハハハ。」
「あっ花火大会楽しみだね!行くんでしょ?園部君も」
「うん。でも緊張するなー」
「緊張?なんで??」
「だって俺、そういうの初めてでさ。仲いいのって直樹だけだし。」
「そうだよねー。私も香織と明日香に誘われて入ったものの。あとの人たちってあんまり絡みないんだよね。」
「えっ?そうなの??」
自然と心に浮かんだ言葉が、口から出てしまった。

「うん。明日香とは中学一緒でずっと一緒で。あの子そういう行事ごと好きでよく誘われるんだけどね」
「ハハ・・・。澤田も大変なんだね」
「そーなんだよ!大変だよ!」
澤田の見た事ないような冗談を言う顔が凄く可愛く想えてしまい
思わず照れてしまった。
このまま時間が止まればいいのになと思っていると

「あゆーっ!園部君ー!遅いよー」っと矢野の呼ぶ声が聞こえ
「はーい!」と澤田は、3人の方へ走って行ってしまった。
残念そうに落ち込んでいた所、澤田が振り向き
「園田君、いくよー。」と手招きしてくれた。
その姿さえも可愛く想えた。

学校に着くと直樹が早速先程の状況を聞き込みにきた。
「せっかく合図送ったのによー。でも結果オーライだな!」
直樹は、満足そうだった。
けれど夢のような時間を送れた僕は、直樹の言葉が耳に入らなかった。
「聞いてんのか?良二ー!!」
「え?ああ!良かった良かった!」
「お前絶対に聞いてなかったろ?まあいいや。これでメール送りやすくなったな!」
「メール?」
「馬鹿!さっきは、ありがとうとかでもいいんだよ!」
「あっそっか!」
直樹は、ずーと僕を見ている
「何?」
「いや、見とかなきゃ送らなそうだからさ。」

「・・・後でちゃんと送るよ」
「あー!もう歯がゆいわ!携帯貸せ!」
そう言って、直樹は僕の携帯を取り上げ何やら打ち始めた
「ちょっと待ってよ!」
「はい!そうしーんと」
「えぇ!!」
「あっ。間違えて幼虫に送ってた。」
「え!?」

画面を確認すると
幼虫は、【ありがとう、大好きです】という言葉を嬉しそうに食べている。

「おぃ!大好きってなんだよ!!」
「それぐらい言っとかなきゃダメだろ!」
「もういい!送るよ!」
澤田のチャットに切り替え【さっきは、ありがとね。】と送った。
「なんだよ。つまんねーな。」
「いいだろ!送ったんだから!」
「まっ!前進したからいいか!」

するとすぐに携帯が鳴り確認すると澤田からの返信だ。
【こちらこそありがとう(*^^*) 園部君と少し仲良くできて良かった♪ また話そうね♪】
僕のテンションは、最高潮になった。
その隣で僕以上に幸せそうに声を上げる直樹。
「やったな!良二!!おめでとう!いやまだ早いか!!」
「やったよ!!直樹!俺頑張るよ!!」

喜んでいると、チャイムが鳴り始め
慌てて4階まで上がり教室に入る。

走ったのもあるが、この鼓動の高鳴りはきっと澤田のお陰だ。
本当に後で直樹にお昼ご飯奢らなきゃ。
それ位嬉しかった。

お昼になり、また直樹が僕を迎えにきて
食堂へ向かった。
今日の日替わり丼は親子丼で、昨日と同じ様に直樹は大盛を頼み席に座る。

「そういえば直樹は、好きな人とかいないの?」
その一言に、口に含んだ親子丼を吹き出した
「ゴホゴホ・・・」
「えー!?大丈夫か!?」
「お前な・・・。突然過ぎるわ!」
「あっ。そう言えば中学の時、一瞬だけ渡辺と付き合ってなかったけ??」
「ゴホッ・・・。」
再び直樹は、むせて水を一気飲みした。

「お前。本当容赦ないな」
「いや。そういえば付き合ってたなーって思い出して。でも仲いいよな」
「付き合ってみたものの。なんか違うって言われたんだよ」
「へー。で?」
「で?ってなお前・・・。」
珍しく直樹が焦っているように思えた。
また水を取りに行って戻ってきてすぐに水を飲みほした。

「ふー。アイツとは、今の関係の方がいいんだよ」
「そっか。」
「なんだよ。」
「いやーなんか直樹らしくないなーと思って」
「うっさいわ!俺にも‟そういうの”あるって言っただろう。」
「そういうの?」
「あー!もういいだろ!飯が不味くなる!」
そう言って直樹は、親子丼に再び手を付けやけ食いするようにたいらげた。

「それよりお前、澤田さんに返したのか?」
「あっやば!まだだ!」
携帯を取り出し、澤田にメッセージを返そうとしたが、違和感に気づいた。
「あれ・・・?」
「どうした?」
直樹に、画面を見せた。
先程届いた澤田のメッセージの一部の文字が消えていた。

【こちらこそーーーー(*^^*) 園部君と少し仲良くできて良かった♪ また話そうね♪】

「なんだこれ?」
「たしか顔文字の前に何か入ってたよね。」
「うーん。ってかお前の送ったの消えてるじゃん。」
「えっ!?」
澤田のメールの上の自分が送ったメッセージ

【さっきは、----ね。】

「・・・本当だ。」
「携帯がおかしくなったんじゃね?」
「かも。」
「学校終わったら携帯屋行くか。」
「そうだね。」

お昼を済ませて、午後からの授業を終え
直樹と共に地元に戻り、近くの携帯ショップへ足を運んだ。

そこでも違和感を感じた。
僕等が入ってすぐに出て行ったお客さんに対しての店員さんの一言だ。

「----ました!」

その一言に直樹と顔を合わせた。
すると店員さんがこちらに近づいてきた
「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件でしょうか?」
「あ、あの携帯の調子が悪くて」
「悪い?と言いますと?どういった状況でしょうか?」
「メッセージの一部の文字が消えていて読めないんです」
「かしこまりました。そちらの席に座って少々お待ちください。」

その後、携帯を調べて貰うも、これと言った不具合は見つからず
一旦様子見となって携帯屋を後にした。
コンビニに立ち寄りアイスを買って直樹とこの出来事について考えた。

「どういう事だ。良二の携帯の文字が消えて、店員さんの言葉もおかしかった」
「それに、その言葉を思い出せない。」
「・・・なんか心辺りないのか?」
「心辺りって言っても。」
「ほら!変なサイト見たとか」
「見てないよ!」

「・・・そうか。だとすると・・・。うーん。わかんねぇー」
思い当たる節を考えに考えた。
そして一つだけ心当たりを見つけた。

「・・・あのさ。」
「おっ!なんか思い出したか!?」
「あの幼虫に、直樹なんて送ったっけ?」
「幼虫??あー!ゲームのやつか!確か・・・。」

直樹が思い出そうとするも、今朝の様に言葉が詰まった。
「あれ?なんだっけ。いや覚えてるよ!」
「澤田に送ろうとして間違ったやつだよね」
「そうそう!・・・ってちょっと待てよ!まさかあの虫が原因っていうのか!?」

「俺もあり得ないとは思うよ!でも一番可能性があるのは・・・。」
気になり携帯を取り出し幼虫とのチャット画面を開く。
すると、幼虫は、繭となり繭には文字化けした言葉が絡まっている。

「この文字化けしてるのが、今まで送った言葉ってことか。」
「かも知れない。」
「・・・良二。紙とペンあるか?」
「ノートとシャーペンなら」
「今から言う言葉を書いて、その後打ってくれないか」
「・・・わかった。」

直樹が選んだ言葉
【学校】

ノートに書き込み、繭の画面で【 学校 】という言葉を打ち込んだ。
すると繭の前に【 学校 】という文字が表れたものの
繭はピクリとも動かなかった。

「・・・夜お互いにメッセージを送ろう。」
「そうだな。これで忘れたら確定だな。」

そう言って解散し自宅に着き澤田にメッセージ返すのを忘れていたので、
返事を返した。

【そうだね!また話そう。】

送った後に繭を確認するも、やはり【 学校 】という言葉は残ったまま
繭は、ピクリとも動かなかった。

夕食を食べお風呂に入り暫くしていると直樹からメッセージが届いた。
【学校。文字消えてないか?】
【学校。うん消えてない!し繭もピクリともしてない】
【良かったー!やっぱり気のせいかな?(; ・`д・´)】
【かもね!】
【なんか安心したら腹減った(´-ω-`) また明日な!】
【うん!おやすみー!】

そう言ってベットに横たわり眠りについた。

次の朝を迎え、いつもの様に携帯のアラームと母の声に起こされ
制服に着替え朝食を食べ
駅へ向かう。

向かう途中、携帯のメッセージを確認するの忘れてたと思い確認すると
澤田からメッセージが届いていた。

【おはよう(#^.^#) もうすぐーーーだね!それまであと一息(*^-^*) また話せるといいね♪】
澤田と朝からチャットが出来るなんて僕は、なんて幸せなんだ。と思いながら
【おはよう!今日も同じ電車だったらいいね!】と送り返し駅に辿り着くと
血相抱えて僕の方に直樹が走ってきた。

「どうしたの?そんなに慌てて」
「どうしたのって・・・。お前昨日の事覚えてないのか!?」
「昨日の事?昨日って確認したやつ?」
「そうそれ!」
「あれって覚えてたから違うかったじゃん」
「それが今朝起きたら忘れてんだよ!」
「何を?」
「言葉だよ!!」

「言葉・・・?あっ!」
直樹に言われ急いで携帯と昨日のノートを取り出した。
繭の前にあったはずの言葉が無くなって
ノートに書いたはずの言葉も消しゴムで荒く消したように薄くなっている。

「そんな・・・。」
「その繭消せないのか。」
試しにチャットを消去しようとしたが、エラーが発生し
トップ画面に戻されてしまう。

「どうしよう消せない。」
「とりあえず行くか。」
「行くって何処に!?」
「何処って・・・。何処だ。」
直樹と顔を合わせ、とりあえず身体が覚えている通り電車に乗り
次の駅にある 何かに向かい始めた。

「・・・良二。もしかしたら俺達とんでもない事に手を出したんじゃねぇか。」
「でも・・・!そんな漫画見たいな事ある?」
「俺もわかんねぇよ!わかんねぇけど・・・兎に角なんとかしねぇと。」
「なんとかって。」
「・・・このままだと俺達の言葉が消えてしまうだろ。」
「・・・そうだね」
「とりあえず、もうそれは使うなよ」
「わかってる。」

沈黙が続き、次の駅に辿り着き
いつもの様に同級生達が何処かへ向かって行く。

そして昨日と同じように
渡辺が、こちらに気づき声をかけてきた。

「おっはよー!ってどしたの!?そんな深刻そうな顔して」
「いや。ちょっと色々あってさー。」
「何々?中野っち元気ないの??」
矢野と渡辺が昨日と同じように、直樹に話し始めた。

「園田君おはよ♪」
「・・・」
「園田君?」
「あっ!ごめん。」
「園田君も考え事?」
いつもなら嬉しいはずの澤田からの挨拶も、今の自分には嬉しくなかった。

「・・・うん。」
「相談乗るよ?私でよければ」
「・・・。もしもさ。普段使ってる言葉が突然消えたらどう想う?」
何を聞いてるんだ僕は。しかも澤田さんに。
「え?言葉が消えたら?・・・どうだろうねー。考えた事ないからなー。」
「そうだよね・・・。」
当然の反応だ。おかしな事言ってるんだから
「でも。」
少し考えたように澤田さんは話を続けた。
「私ならどうにかしてでも伝えるかなー。」
「どうにかしてでも?」
「うん。時々あるじゃん。伝えたくても言葉が出ない時、相手がわかってくれる時って」
何故だろうか。澤田さんの純粋さに笑顔が零れた。

「ちょっと!真剣に答えたのに!」
「ごめん!なんか嬉しくてさ」
「元気出た?」
「うん。元気出た。」
「そっか。良かった♪」

やっぱり僕は、澤田さんに思いを寄せているんだと
再確認した。彼女の言葉一つ一つに元気を貰える。
このまま付き合えればな。
なんて浮かれていたのは一瞬の事だった。

前の学生達がざわついている。
「なんだろう?なんか騒がしくない?」
「あゆ!園田っち!大変!!」

3人の元へ走って、矢野が指さす方を見ると
建物の上に大きな繭が出来ている。

「なんだろね??あれ」
すかさず直樹が近寄ってきた

「おい・・・あれまさか。」
「・・・」
僕は携帯を取り出し繭を確認する。

【 LINKされました 】

と画面いっぱいに言葉が広がる。

「リンクされ・・・た?」
校門前に先生たちが立っていて生徒達に 誰かの悪戯だから気にせず建物へと呼び掛けている

「なんだー悪戯かー。」
「先生たちが撤去するんだってー。」

「あんなもん撤去できんのか。」
「わからない。でもとりあえず先生たちに任せようか。」
「・・・そうだな」

そう言って建物に入り いつもと変わらない風景を目の当たりにする
「兎に角。様子見だな。」
「うん。」

クラスに向かい いつもの様にチャイムが鳴り響き
担当の先生がクラスに入り 朝礼を始め授業が始まる。

ほとんどの生徒が、先生に繭の事を問いかけるも
先程と同じ様に、今授業のない先生たちで撤去作業が行われている事を話す。

そして普段のように授業が始まる。

しかし。普段と違うのは、此処からだ。
先生が黒板に書いた文字が、数分にして、文字化けが起こり
黒板が落書きのような文字だらけになった。

同級生は、先生の書いた文字が読めないと茶化しだす始末。

「そんな・・・。」
僕が絶望し始めた時、屋上で大きなもの音が聞こえた。
窓から覗く生徒達を落ち着かせようと先生が必死に呼びかける。

暫(しばら)くして、撤去に向かった先生が各クラスの担当の先生の元に走ってきた。
深刻そうに話す先生たちの会話が少し聞こえた。

「繭から大きな蛾のようなものが羽化した。」
その言葉が聞こえた瞬間、体中に寒気が走った。
そして訪れた先生は、隣のクラスへ走って行った。

担当の先生は、ざわつく教室で待機とだけ言ったものの
同級生達は、更にざわつき始める。
少し時間が過ぎた頃、アナウンスが流れ全生徒、担当の先生と共に
順番に体育館への避難の指示が流れた。

まずは1年1組。10分後に僕等のクラス。1年2組。
移動中にまたアナウンスが流れ、直樹と渡辺がいる1年3組の移動の指示が流れた。
屋上を見ない様に速やかに移動するよう指示する先生たち。
その後も続々と体育館に移動してくる全校生徒。

体育館は、異様な空気になっていた。

蛾が羽化した事を冗談だろと茶化す生徒もいれば。
信じてどうするのか不安になっている生徒。
携帯をいじってSNSに投稿する生徒。
先生たちに問いかける生徒。

全校生徒が体育館に集まり少し時間が経った頃
滅多に観ない校長先生が、状況を説明し始めた。

怪獣映画に出てくるような巨大な蛾が、この建物の上にいる事。
その対処に警察や害虫駆除の業者を呼んでいる事。
とりあえず警察と業者が来るまでは待機と言う事。

納得のいかない生徒達がブーイングする中、直樹がこっそり僕の側まで来た。

「偉い事になったな。」
「どうしよう。」
「どうするも。とりあえず警察と業者に任すしかないだろ。」
「対処できると思う?」
直樹は息詰まっていた。

「何か方法ないかな。」
「何かって。削除出来ないんだろ?」
「うん。出来ないけど・・・」

暫くすると、校長に一人の先生が報告に行く。
「なんだって!?」
校長の反応に対し再びざわつき始める。

その反応を見て先生たちが静かにするようにと呼び掛ける。

それから数分時間が経った。
一向に警察や業者がくる気配がない。
全校生徒の不安がピークに達した頃、建物中に大きな物音が響き渡った。

その音に叫び始める生徒達。
そして一人の学生が、窓際に見えた何かに反応した。

それは、文字化けした言葉を羽織った大きな幼虫が、窓にへばりついているのだ。
それを見た学生達が一斉に叫び始めた。

「おぃおぃ・・・嘘だろ。」
「直樹!」
「・・・なんだよ」
「やっぱり俺、なんとかする」
「なんとかっつったって・・・。」
「何かあるはずだ!」
「だからどうするんだよ・・・。」

「とりあえずその成長した蛾の所まで行く。」
「はぁ!?お前何言ってんだよ」
「もしも俺の携帯の幼虫が成長したなら俺がなんとかしなきゃ」
「・・・ったく。そういう所だけは積極的なんだな」

「あんたら何か知ってるの?」
矢野と澤田と渡辺が、僕等の会話を聞いてたらしくこちらに立ち寄ってきた

「さっきから幼虫とか蛾だとか聞こえたけど知ってるんでしょ?直樹。」
「・・・いや。知っててもお前らは巻き込めない。」
「はぁ!?何それ!小学校の時は、無茶苦茶言って誘ってきた癖に、カッコつけるんですか!?」
「危険すぎるっつってんだよ!!それに、まだ対処方法も見つかってねぇ」
「そういう所だけ男面ですか?そういう所が嫌いなんだよ」
「なんだよ!俺は・・・。」
喧嘩する渡辺と直樹に紛れて、澤田が僕の手を握ってきた。

「いっ・・・。」
「園田君。何か知ってるなら話して。」
「でも。」
「言ったでしょ。相談乗るって。」
「・・・実は。」
「おぃ!良二!!」
澤田の真剣な表情を見て僕は、これまでの幼虫との出来事を話した。


「幼虫に言葉を教えたら、言葉が消えたって・・・。」
矢野も渡辺も、肩を落とした。
「何それ・・・。ハハハ。」
「・・・ごめん。」

「だから言っただろ。巻き込めないって。」
絶望する3人に、澤田がまた考え始め、思い付いた様に口を開いた。

「言葉が消えたって事はさ。もしも【 蛾 】って教えたらその虫消えないかな。」
その一言を聞いた瞬間、直樹と目を合わせ
試しに画面を開き打つも、エラーでまたトップに戻された。

「クソ・・・!ダメか。」
「もしさっきの事が本当なら、黒板に書いた言葉も消えたって事だよね」
「かもな・・・。なんで?」
「だから校長たちや先生たち、他の皆言葉数が減ったのかな?」
「良二のクラスなんて書いてた!?ってわかんねぇか」
「ごめん。思い出せない。」
「って事は、結局クラスに戻らないとか。」

「・・・。園田っち。直樹。」
渡辺が、重たい口を開き何やら覚悟を決めた様子で話し始めた。

「あんたらに任せていい?」
渡辺の言葉に、目を合わす僕と直樹。
「勿論あんた等だけに危険な目にはあわさせない」
「は!?」
「私もあんた等の幼馴染だから最後まで付き合わせて。」
「だからお前を危険な目に」
「直樹に何かあったら嫌だもん!!」
「・・・香織。」
「・・・これ以上言わせないで。」
「あぁー!!もうわかったよ!!好きにしろよ!!その代わり俺から離れんなよ!!」
「カッコつけて。」
「うるせぇな!じゃあ好きに行動しろよ!!」

二人の喧嘩を見て矢野が羨ましそうに「青春だね」と呟く。
「でもどうやってここを抜け出すんだ?」
「矢野っち!お願い!!」
「へ?お願いってなに?」

「きゃー!!!!」
矢野の叫びに、全校生徒・教師一同が振り向き
矢野の指さす方を確認した瞬間。
僕と直樹と渡辺が一斉に扉まで走った。

すぐに視線を戻した先生が、こちらに気づき
呼び止めようとするも、もう遅い。
扉を開き一気に閉め走り出す。

階段を上り2年のクラスに忍び込み一旦落ち着く。
「ふあー!!怖ぇー。」
「はぁ・・・はぁ・・・スリリングだったね」
「絶対後で補修だね。」
「間違いない。」
4人で、一旦深呼吸して周りを見渡す。
すると渡辺が叫んだ。

「あゆ!!何してんの!!あんた!!」
「ごめんね。着いてきちゃった」
「澤田さん!?」
「私も力になりたくて。」
「もー!!今から戻りなさい!!」

落ち込む澤田さんに直樹が声をかけた。
「戻るっつっても今戻ったら危険だろ。良二。お前が守ってやれ。」
「え!?俺!?」
「いいから。」

澤田さんの方を見ると、少し嬉しそうにしている。
「わかった。澤田さん側にいてね」
「うん。わかったよ♪あっ・・・!」
澤田さんは、立ち上がり黒板の方へと向かった。
「この黒板に 【 蛾 】って書いたら消えないかな?」
「書いてみるか。」
澤田さんがチョークに手を伸ばした瞬間だった。硝子を割り幼虫が侵入してきた。

思わず声を上げる澤田さんを直樹が急いで黒板から離したものの
直樹が幼虫に襲われる。
「直樹!!」
渡辺が椅子を持って、必死に幼虫を叩く。
幼虫がよろめいた隙に、離れる直樹。
「走れ!!」
そう言って、僕等は、教室から飛び出し
僕は、澤田さんの手を引っ張り
階段を駆け上がり屋上に繋がる階段の方へ走ると
階段前は、幼虫の群れが階段に群がっていた。

1年2組。僕等のクラスに急いで隠れ息を殺す。
「そんな・・・。」
絶望する渡辺を見て直樹が僕の方を振り向く。
「良二。俺が囮になるからその隙に、香織と澤田さん連れて屋上に走れ」
「はぁ!?そんな事出来るかよ!!」
「そうよ!!馬鹿な事はよして!!何かあるはずよ」
「・・・香織。」
「何よ。」
「あん時は、ごめんな。」
「こんな時に何!?」
「こんな時だから言わせてくれよ!」

「・・・。」
渡辺が悔しそうに唇を噛んでいる姿を見て直樹が渡辺の頭を撫でた。
「大丈夫だって。今度は信じてくれ」
そう言って直樹は、教室を出ようとする
「直樹!!」
「良二。わかってるよな。俺の言いたい事」
「・・・でも」
「不安そうな顔すんな!お前は、ちゃんと片づけて明日の昼飯奢る!ただそんだけだ!」
いつもの様に笑顔で、少年のように陽気な直樹の顔がそこにはあった。
そう言って、直樹は教室を出ていく。

直樹の雄たけびが廊下に響き渡った。
その後、もの凄い音が廊下中に響いた。

「香織!!」
澤田さんの声に、それに続くように渡辺が教室を飛び出そうとした所立ち止った。
「あの馬鹿に・・・!かっこつけさせたままだと私がムカつくの!!」
振り返った渡辺は、泣き崩れてくしゃくしゃな顔で、まるで鬼のような顔立ちになっていた
「園田っち!ちゃんとあゆの事頼んだわよ!!私は、あの馬鹿死んでも連れ帰るから!!」
そう言って渡辺も教室を飛び出した。

困惑する澤田さんの手を強く握り僕等も続くように澤田さんの目を見つめた。
「2人の想いを無駄には出来ないよ。行こう!」
澤田さんの手を引っ張り、幼虫たちがいなくなった隙に階段まで移動し屋上の扉までたどり着く。

2人を心配そうな澤田さんの顔を見て
自然と出た「大丈夫。僕が守るから」という言葉に。
少し安心した表情を見せてくれた。

扉をゆっくり開くと先生たちが言っていた
怪獣映画に出てくるくらい巨大な蛾が、目の前に羽を広げて待ち構えていた。
羽の模様をよく見るとこれまで教えたであろう言葉が模様として刻まれている。

蛾は、じっとこちらを見つめ動かない。
しかしその姿を見た僕は震えが止まらなくなってしまった。

恐怖。
得体の知れないコイツをどうやって消去するんだ。

躊躇(ちゅうちょ)している間に蛾は、大きく広げた羽を前後ろに広げ
突風を起こし僕等を吹き飛ばした。
必死に澤田さんの身体を抱きしめそのまま
フェンスまで吹き飛び力強く打ってしまい意識が朦朧(もうろう)とする。

「園田くん!!大丈夫!!??」
くそ。どうすればいいんだ。あんな化物。

蛾は、今にも飛び立ちそうに羽をまた広げている。

どうすれば。どうすれば。
意識が朦朧とする中。
今までの事が走馬灯の様に蘇ってきた。

送り主:不明。
【貴方の大切なコトバを、コノ子に教えてクダサイ】

「言葉が消えたって事はさ。もしも【 蛾 】って教えたらその虫消えないかな。」

【 LINKされました 】


LINK・・・。

もしかして。
重たい身体を起こし僕の身体を揺すってくれた澤田さんの肩に自然に手が届いていた。

「澤田さん。さっきのチョーク持ってる!?」
「え?あ・・・持ってるよ」
「二つに割れる!?」
「えっちょっと待ってね。」

蛾は大空まで飛び立ち、街に向け進行しようとしている。

「これでいい!?」
「頼む!なんとかなってくれ!!」

屋上に二人で書いた

LINKという文字。

蛾は、いよいよ羽を上下に広げ飛び立ってしまった。

しかし次の瞬間、蛾の羽に刻まれた【LINK】の文字によって
羽が光と共に、消え始めそのまま 蛾の身体が、こちらに向いた。
急いで携帯を確認すると
画面から【 LINKされました 】の文字が消え
【 蛾 】という文字を打ち込んだ。

そして慌てて階段まで戻り、落下してきた蛾がそのまま屋上から学校の一部をえぐり削り
そのままグランドに叩き落ちた。
その音を聞きつけ体育館に待機していた学生や教師達が飛び出してきた。

すると蛾の身体が光、放ち消え始めた。

蛾が消えたと同時に学校中の幼虫の身体も光始め
そのまま光と共に消えて行った。

傷だらけになった直樹と香織が、辺りを確認した
「終わったのか・・・。」
「・・・やったんだね。」
「はーぁ疲れた。」
その場に崩れた直樹に香織は抱き着いた。

「わぁ!なんだよ!!」
「・・・良かった。」
「・・・だな。」


崩れ落ちた屋上から落ちない様にゆっくり下を確認する僕と澤田さん

「終わったね。」
「・・・うん」
「いてて。」
安心すると先程フェンスにぶつけた時の痛みが一気に身体に来て倒れてしまった。

「大丈夫!?園田くん!!」
「ハハハ・・・なんとか。」

覗き込む澤田さんの顔を見ていると
いつの間にか僕等は 何と戦って何の為に戦っていたのか忘れていた。

恥ずかしくなったので屋上から見える景色に目を移した。
気づけばいつの間にか陽が落ち始め、空は綺麗な夕焼けになっていた。

景色を見る僕を見て澤田さんも景色を見始める。
「うわー!凄く綺麗だね!」
「うん。疲れも吹き飛ぶね」
「うん!」
「でも澤田さんと見れて良かった。」
自然と出たその言葉に、やってしまったと澤田さんの方を振り向くと
不思議そうにこちらを見つめている。

「え?」
「あ・・・いや。その・・・。」

少しの沈黙の時間が経ち 僕は勇気を振り絞り澤田さんへの想いを口にした。

「澤田さん。」
「・・・はい」
「好きです!ずっと前から・・・!」
そのまま勢いで立ち上がり手を澤田さんに差しだした。

「僕と・・・付き合ってください!!!!」

澤田さんは、少し迷い僕の手を握ってくれた。
顔を上げると笑顔でこちらを見つめてくれている。
それは照れ隠しにも思えた。

「【友達】からでもいいかな?」
「あ・・・はい。」

「あっ。」
「えっ?」
「流れ星だ。」


その後、皆の記憶から今日の一部の出来事は、忘れ去られ。
学校の復旧作業の為。
少しだけ早い夏休みが始まった。


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2013年10月31日 ONEP.jp

親身になって相談に乗ってくれたり、勇気づけてくれたり、同じ悩みを持った人同士 で話し合ったり…ネットにはそういったコミュニケーションや、それらに伴うサイト上での交流があります。そんなやりとりがあるからこそ「悩みが解決した」「勇気が出た」「新しいことを知ることができた」という声も多数あります。

しかし、「実際に会う」ことによって、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

「仲良くなったから会ってみたい」「直接会ってお礼が言いたい」という気持ちはときとして持ってしまうこともあります。しかし、実際に会うことによって、トラブルに巻き込まれる可能性があります。

すべての人が悪い人というわけではありませんが、トラブルに巻き込まれないために、サイト外で実際に会うことはやめましょう。実際に会ってみたら、年齢を偽っていたことが分かったり、友達になろうと思っていたら男女の出会いを目的とされていた、ということもあります。

ONEP.jpでは、オフ会を開くことやサイトの外で実際に会うことを禁止します。他の サイトでも、そういった危険性があることを知っておいてください。

モバゲーより流用

2013年8月5日 ONEP.jp