僕の言葉、君に捧ぐ。


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なし 僕の言葉、君に捧ぐ。

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前の投稿 - 次の投稿 | 投稿日時 2019-1-9 23:31
kyou1102  懸賞金1億ベリー   投稿数: 895
この物語は、とある夏休み前のいつもと違う。
星の降る夜まで続いた僕と彼女と同級生達を巻き込んだ。
少し不思議な1週間の物語である。

蝉時雨が鳴り響く校舎は、あと一週間で「夏休み」と言う僕等、
学生に取ってのこれからの楽しみで浮かれる者ばかりだ。
けど僕は違う。
予定もなく恐らくバイト三昧の日々が待ち受ける夏休みが憂鬱で仕方がなかった。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴り、周りの皆はまた夏休みの計画を話し始める。
嫌気をさし携帯をいじっていると、隣のクラスの幼馴染で僕とは正反対で陽気な直樹(なおき)が、
面白がって僕の顔を覗いてきた。
「良二(りょうじ)君、また携帯ばっかいじって。学生らしく夏休みを楽しみにしろよ」
「夏休み、夏休みってな。知ってるだろ?予定ないの!本当夏休みなんてなくなればいいのに!!」
直樹は笑いを堪えながら、僕の携帯を取り上げてきた
「何すんだよ!」
「アハハ、お前って奴は。だから澤田に振り向いて貰えないんだよ!」
馬鹿!と携帯を取り返し、澤田の方を確認する。
良かった。彼女は友達と話すのに夢中になってこっちの話なんて聞こえてない。

澤田あゆみ。彼女は背が低くショートヘアーで、それでいてお淑(しと)やかで在り
僕がイメージする「女の子」と言う言葉がぴったり似合う。
密かに思いを寄せる女の子だ。

「彼氏いないらしいぜ」
直樹がまたたぶらかすように僕にちょっかいをかける。
「知ってるよ!そんな事!」
「チャンスじゃん!良二。告っちまえよ」
「・・・出来る訳ないじゃん。」
そうだ。こんな僕なんかが、彼女に告白出来る訳がない。
高校に入って3ヶ月。彼女と話したのなんて挨拶とプリントを回収する時の「はい」だけ。
彼女と接点なんて同じクラスなだけ。

「良二。実はな朗報を持ってきたのだ」
「朗報って澤田に彼氏いない事だろ?」
「実は!」
そう言うと直樹は、自信満々に自分の携帯を僕の目の前に持ってきた。
画面に映っているのは、日頃よく使うSNSのグループチャットだ。

「これが何?」
すると直樹は呆れた顔で画面を指さす
「よーく見てみ?」
僕は、目を凝らして画面を確認した。グループ名‟夏休みはっちゃけ隊”?
実に学生らしくふざけてるなー。とメンバーを見ていると。
そこに澤田あゆみの名前を発見し発狂しそうになった。
直樹の名前もある。直樹の顔を見ると凄く鬱陶しいドヤ顔をしている。
「実はさ。夏休み皆で花火大会行こうって話になって今女子5人。男子5人集めてんの」
「ちょっと待て!なんでお前がこのグループに?」
「いやー。香織(かおり)いるじゃん」

香織?あー。僕と直樹と同じ小学校だった兄貴がいるからか男勝りで、
おちゃらけ系の渡辺香織か。

「いるね。あれ?お前仲良かったけ?」
「家近所だしな。んで香織が誘ってくれてさ」
いいなー。僕も渡辺と仲良くしとけば良かった。
「で?何?自慢しに来たの?」
「捻くれてるねー。言っただろ?朗報だって?」
その一言に、何故だろうか。鼓動が早まった気がした。

「実はさー。女子5人集まったんだけど、男子あと1人足りないのよー。」
「え!?マジ!?」
僕が喜んだ事を良い事に、直樹は澤田や他の女子が話してる所に行って、声をかけ始めた。

「澤田さん!矢野っち!」
「どうしたの?中野君?」
澤田さんの声だ。嗚呼なんて心を癒してくれる声なんだ。
「あと一人なんだけど、良二が丁度空いてるみたいでさー。」
えっ!?
「良二って・・・。どんな子だっけ?」
ほらー。矢野なんて僕の事わかってないじゃん!!
「園部君だよ。ほらあそこの席に座ってる。」
澤田ーッ!!僕の事わかってくれてたのかーッ!!
「そうそう、園部。いいかなーあいつでも?」
「いいんじゃない?ねぇあゆ。」
「うん。いいよ」
ありがとうーッ!澤田!直樹ーッ!!あと矢野!!

その反応を見て、嬉しそうに戻ってくる直樹は、こっそり僕の耳元で
「お昼ご飯よろしくな」と囁き自分のクラスに戻って行った。
直樹が教室に帰っていくのを確認し、すぐに送られてきた招待により
グループチャットに参加した。

休み時間の終わりを告げるチャイムが鳴り響き静まり返る教室の隅に
未だに僕の鼓動が鳴りやまなかった。
この日受けた授業のほとんどを僕は覚えていない。
ただただ嬉しくて。ただただ澤田との共通点が増えた事が誇りに想った。

気が付くと、午前の授業は終わりお昼休みの合図が鳴る。
未だに震える身体に、ブルルっと携帯のバイブレーションがズボンの右ポケットで振動した。
すぐに確認するとさっき入ったグループチャットで矢野が、僕に自己紹介を要求している

【園部っち、自己紹介よろー。】
震える身体を深呼吸で一旦落ち着かせ返信をゆっくり打つ。
【2組の園部良二です。直樹の紹介で入りました。よろしくお願いします。】
自分でも固い挨拶だな。と、自分の文章を見て想っているとすぐにまた携帯が振動した。
【固ェなw 良二(≧▽≦) まぁ俺の同級生だからよろしく頼んます♪】
直樹らしい返信で、また少し落ち着きを取り戻した。
ふーっと息を吐くと。また携帯が振動した。
【園部君。同じクラスの澤田あゆみです。夏休み楽しもうね(#^^#)】
そのコメントを見た瞬間、顔がにやけてしまった。
澤田の方を見ると、ぺこりと一礼し手を振ってくれた。

もうそれだけで僕は十分だった。
あの憂鬱だった1限目終わりまでは、なんだったんだ!?と自分にツッコミながら
澤田のコメントを見ていると次々に同級生から返信やスタンプなどで、いつの間にか澤田のコメントが
画面から消えてしまっていた。
必死にスライドして画面を戻すも次々と入るコメントにスライドが追い付かず
少しだけ不機嫌な顔になってしまった所に直樹がお昼ご飯を奢ってもらおうと僕を誘いに来た。

「楽しんでるなー良二。」
どうやらご機嫌そうな様子の直樹。
必死に照れ隠しするも、直樹はお見通しの様でニヤニヤしている。
また携帯のバイブレーションが鳴ったとは思ったものの確認せず直樹と食堂へ向かった。

廊下を歩いている時も直樹は自分の事の様に嬉しそうにしている
「良かったなー。良二。俺は凄く嬉しい!」
「あのな。でも澤田と直接メールした訳じゃないからさ」
「そこはお前次第だろ?応援してんぞ」
「うっせー。」
食堂に着くや否や早速今日の日替わり丼(どんぶり)を奢らされ
遠慮する仕草もなく直樹は、大盛カツ丼を平らげる。

「で?これからどう攻め落とすつもりなんだ?良二君。」
「え?」
「え?じゃねぇよ!澤田の事だよ!」
「うーん。」
「うーんってなお前。折角スタートラインに立てたんだ。色々あんだろ」
「澤田と直接メールする・・・とか?」
「いいな!その意気だ!」
「でもさー。勇気ねぇわ」
弱気な僕の発言に直樹は、箸を止め呆れたように話を続けた。

「良二、別に俺は面白がってお前をこのグループに誘った訳じゃないんだぞ」
「わかってるよ。」
「お前にとって簡単なことじゃない事くらい百も承知。俺だって好きな子になんてどう打とうかなーとか悩むよ。」
「直樹でも?」
その一言が意外だった。誰とでも仲良く過ごせる直樹でも異性ではそうなるんだと。
「当たり前よ。俺達小心者だろ?」
「ハハ。言えてる。」
「きっかけなんてなんだっていいよ。同じクラスなら明日の課題なんだっけ?とかでもいいじゃん」
「頭いいね!」
「だろ?そっから趣味とか聞いちゃえばいいんだよ」
「そっか。そうするよ!」
「おぅ!頑張れよ!良二!」
嬉しそうに微笑んだ後、直樹は再びお箸に手をつけカツ丼を食べ始めた。

直樹からのアドバイスを早く実行したくて午後からの授業もまた頭に入らなかった。
次の休み時間に送ってみようかな。
いやでも帰り際に直接聞かれるのも怖いし。
やっぱり帰ってから送ろう。

長い1日を終え帰宅の準備をしていると直樹が迎えに来た。
「帰るか」
「・・・だな。」


グランドには、野球部とサッカー部が続々と準備に取り掛かっている。
校門を過ぎ直樹が背筋を伸ばし、仕事終わりにビールを飲むお父さんの様な声を上げた
「くー!あと1週間だー!」
「呑気でいいよな。直樹は」
「呑気じゃねぇーとやってられっかよ」
直樹がまた背筋を伸ばし終えるとまた澤田との話題に切り替わった。
「で?良二なりの作戦は練ったのか?」
「・・・作戦?」
「そうだよ。澤田と距離を縮めよう作戦」
「なんだよ。そのままだな」
「だって楽しみじゃん。もし上手く行ったら俺は嬉しいし。失敗しても次行けばいいしな」
「お前な。まだ始まってないんだぞ」
「始まる前から終わりかけてたのは、どこの誰ですかー?」

直樹の一言に、少し沈黙が生まれてしまう。
沈黙を遮るように直樹が呟いた。

「俺さ。やっぱあの時悔しかったんだよな」
「・・・」
直樹の言葉の意図は、すぐにあの日の苦い思い出の事だとわかった。
中学3年になった僕は、ずっと思いを寄せていた女の子を勇気を振り絞り放課後呼び出し
直樹が見守る中、告白するも撃沈した事。

今思えば脈すらない無謀な戦いだった。
告白するか迷って辞めようとした時、告白しなきゃ一生後悔するぞと背中を押してくれた直樹。
あの日があるからこそ、直樹は僕の恋愛に対して積極的になってくれる事もわかっている。

「直樹。今度は絶対に自分の力でなんとかするよ」
自然と出たその一言に直樹は、また笑顔で答えてくれた。
「俺に出来る事なんてお前を応援する事だけだからさ。だから精一杯俺はエールを送るよ」

それから少しバイトの愚痴やゲームの話で盛り上がり、電車に乗り
一駅越えた自分達の住む街に戻ってきて直樹と別れ
20分程歩いて自宅に辿り着いた。

自宅に入り携帯を確認する。
グループチャットを確認すると20件もの未通知が溜まっていた。
直樹からの応援メールも届いていた。
想えば携帯が、これほど鳴ったのは、中学の卒業式以来ではないか。
思い出に浸りながらメールを確認すると、身に覚えのない招待メールが届いていた。

送り主:不明。
【貴方の大切なコトバを、コノ子に教えてクダサイ】

なんだこれ?
メールを開くと。
画面中央に、アニメタッチの幼虫がこちらを見つめている。

「なんだこれ?」
少し考えて【 友達 】と打ち送信すると
幼虫は、喜んだように上下に身体を動かし画面上に表れた【 友達 】という言葉を食べ始めた。

違う違う。こんな事してる暇ないんだ!
グループから澤田の個人チャットを開き勇気を振り絞り
【こんばんわ。同じクラスの園部です。】
まで打つも、まだこの時間だ。
もしかしたら矢野達と一緒にいるかもしれない。
そんな中、僕からの個人メールが来て、同級生に言われるのも。
急に不安になり携帯を閉じ、自分の部屋に戻りベットに横たわる。
そして自分の意気地なしな部分が嫌で、気晴らしに音楽を聴く。

「良二ー!ご飯出来たよー!!」
母の声に、目を覚まし時計を確認すると時間は、19時45分。
やばっいつの間にか寝てた。と1階へ降り夕食を食べ
お風呂に入り。携帯を確認し勇気を振り絞り澤田にメールを送ろうとするも
グループチャットで、矢野が今日の課題についての質問が入ってしまい
どうしようもなくなってしまった僕は、また明日にしようとベットに横になった。

次の朝。
携帯のアラームと同時に母の声によって目が覚め
制服に着替え下に降りて朝食を食べ
学校へ向かう。

駅に着くと直樹が、ニヤニヤしながら近づいてきた。
「どうだったんだ?」
「実はさ。」
直樹に昨日の自分を話すとヘタレと呆れ同時に溜息をつく。

「ゆっくりでもいいけどさ。せめて夏休みまでには何か仕掛けとけよな」
「わかってるけどさー。」
責められるのが嫌になり話題を昨日の招待メールに変えた。
「え?幼虫?お前そんな事に時間費やしてたの?」
「違うよ。なんか大切な言葉を教えてくださいって来てさ」

そう言って昨日の画面を直樹に見せた所で、電車が到着し
乗り込んだ。

「なんだこれ。あれか?今流行ってるネコに言葉教えるゲームのパクリか??」
「わかんないけどさ」
「で?何教えたんだ?澤田とかか?」
そう言ってまた直樹は、楽しそうに微笑んでいる
「違うよ!あれだよあれ・・・。」
「あれってなんだよ?」
「・・・あれだよ。」
「あれ?」
‟あれ”?なんでだ。思い出せない。幼虫に打った【言葉】を。

「ほら俺達の事だよ」
「幼馴染?」
「違う。仲いい奴の事」
「仲いい?あー!」
そう言うも直樹も、言葉を詰まらせる。
「あれだよな!わかるよ!あれ・・・えーと。」
「あれだよね。ずっと一緒にいる奴の事」
「そうなんだよな。くそー!ここまで出てるのになんでだー!!」
苛立ち始めた直樹が、話題を変えようと幼虫に何か言葉覚えさせようぜと言いだした。

「そうだな。もしかしたらそれで思い出すかもしれないしね」
そう言って二人で何を覚えさそうか相談した結果

【 夏休み 】という言葉を打ち込み、昨日と同じ様に
幼虫は、喜んだように上下に身体を動かし画面上に表れた【 夏休み 】という言葉を食べ始めた。

「こうして見ると可愛いんだな。」
直樹が夢中になり始め
「どんどん覚えさそうぜ!」と言い始めた時
電車が学校のある街に着いていた。


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2013年10月31日 ONEP.jp

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2013年8月5日 ONEP.jp