Re: 灰になった世界で プロローグ


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なし Re: 灰になった世界で プロローグ

msg# 1.1
前の投稿 - 次の投稿 | 投稿日時 2018-11-10 23:19
kyou1102  懸賞金1億ベリー   投稿数: 895
次の朝も、いつものように。
起床時間のブザーが、街中に鳴り響いていた。
街中は、いつものように傭兵達が、
住民達を案内し、住民達は、食事をしたり、用意された仕事を始めたり。
人それぞれの“自由時間”を始まった。

ただ一つ違うのは、やはり自分のブザーが鳴らない事。
そしていつもの様に、古汚い白い布で作られた服を着て街に出て行った。

広場に辿り着き、また傭兵達が僕に視線を向けているのを感じた。
昨日と同じように、広場を進んで行くと一人の傭兵が、僕を手招きしてきた。
昨日と同じように、はい。と答え傭兵の方へ足を運ぶと傭兵は、僕の耳元で小声で、呟いた。
「そのまま君ノ思う様にしてみなさい。我々ハ期待している。」
問い返そうとしたものの傭兵は、昨日同様持ち場へ戻りそれ以上は、答えない。

又しても、大人達からの視線を感じたが、気にもせず老人の自宅へ向かった。

ゴーストエリアに入り、老人の自宅の前まで行くと。
「・・・何かあれからわかったのかい?」
気だるそうな老人は、ため息交じりで言葉を零した。
僕は、老人に早速枷の事を訪ねた

「鳴らない?」
老人は、不思議そうな顔で、僕の枷を眺めた。
「うん。就眠時間を過ぎてから外に出ても罰もなく」
僕のその一言に、驚いた表情で額から汗が流れるのが見えた。

一滴の汗が床に落ちた後、震えた唇が動いた。
「外に出たのか!?兵隊は!?街の雰囲気は!?」
老人は、興奮のあまり僕の肩を手で握り、貴重な情報源を離さまいとしているのが伝わってきた。
僕の怖がる姿を感じたのか、老人が手を放し、その場に膝を着き崩れ落ちた。
「・・・すまぬ。取り乱してしまった。」
だ、大丈夫ですと声をかけると老人は深く溜息をついた。
沈黙が続き、老人は、ハハッと自分の馬鹿馬鹿しさに笑みを浮かべた。

「物知り爺さんを訪ねてきた子供に、ワシが訪ね切ってどうする。」
その一言に、老人の外への想いはきっと知らない僕にとっては想像出来ないほどの苦しみなんだと
感じ取った。
いつの間にか無意識に僕の両手は、老人の両手を強く握っていた。
「か、必ず。」
老人の死んだ目に、僕が映ったのが見えた。
「必ず、外に出ましょうね」
出来る保証もないその言葉は、震えていた。
老人は、それを察したのか深くお辞儀をし一言ありがとうと呟いた。

老人の家を後にして、広場に向かうと何やら人だかりが出来ていた。
大人達の間を潜り抜けると、広場の中心には、傭兵とユーリが話していた。
話声は、大人達のユーリに対しての妬みや批判の声によってかき消されてしまったけど
ユーリは何処か脅えた表情をしている。

話終わりユーリは、途方もなくその場を離れようとする。
僕は、ユーリの名前を呼ぶもどうやら聞こえなかったのか、そのまま足をゆっくり一歩一歩進んでいく。
近くまで言って名前を呼ぶとビクッと驚きこちらに気づいた。

「ビックリした・・・。ノヴァいたんだね」
ユーリの目は泳ぎ、切羽詰まった表情をしていた。
「昨日と真逆だね。」
ユーリは、無理やり笑顔を作って僕に優しく言った。
「もしかして聞こえた?」
「ううん」と僕は首を横に振ると、良かった。と安心した様子だった。

「とりあえずいつもの場所に行こうよ。そこで話聞くよ」
僕はユーリを励まそうとしたのだが、ユーリは何か言いたそうにするもその口を止め。
「ごめんね。今日はそんな気分じゃない。」
ユーリの表情は泣くのを我慢しているようにも見えたので、僕は何も言えず立ち止まってしまった。
深く溜息をついたユーリは、じゃあね。と家の方へ戻って行った。

僕も家へ戻り、真っ暗い部屋でずっとユーリの事を考えていた。
もしかするとユーリも傭兵に行動を試されているのか?
そして僕と同じようにブザーが鳴らなくなったのか?
考えれば考える程、わからなくなった。
横になり明日ちゃんとユーリと話そう。そしてこの憂鬱な気分を晴らそうと
僕は無理やり眠りについた。

勿論この日も僕のブザーが鳴る事はなく。
街中のブザーが鳴り響き街中はその音と共に静まり返って行った。

ギィっと扉が開く音がした。
その音に目を覚まし辺りを見渡すと扉から
僅かに街灯の光が差し込んでいた。
そうか、考えるのに夢中で鍵を閉め忘れたんだ、扉を閉めないと
ベットから立ち上がり扉へ向かおうとしたその瞬間、何かが僕に向かって飛んできた。

驚いた僕は、ベットに倒れ込み何かが、すかさず僕の上にのしかかり
僕の首を強く締めた。
必死に抵抗しその締め付ける物を力強く掃い、のしかかる何かを蹴り飛ばす。
ズドン!と部屋中に大きな音が響きすかさず電気をつけると僕は、その正体に言葉を失った。

僕を襲ったのは、この時間に此処にいるはずもなく
けれどずっと側にいたユーリだったからだ。
「なんで・・・。」
僕は思わず思考が口から零れた。
強く蹴られ蹲るユーリが僕を睨みつけ泣き叫んだ。

「わかんないよ!どうしてなの!どうして貴方なの!ノヴァ!!」
ユーリの憎悪(ぞうお)漲(みなぎ)る叫びが街中に響き渡った。
必死でユーリを説得しようにも、ユーリの目には僕は本当に映っていない。
脅えているようにも見えたその瞳は、まるで化物を見ているようだった。

ユーリの叫び声に駆け付け大人達が、僕の家に群がってきた。
それと同時に街中にブザーが鳴り響く。
僕は慌ててユーリに右手を差し伸べるもユーリは強く、手を掴み僕を引きずり倒そうとしてきた。
なんとか左手で、バランスを取って手を振りほどき家を飛び出した僕を
大人達が必死で抑え込もうと僕を囲み始めた。

恐怖のあまり必死に抵抗するも、ユーリの様な少女とは違い一筋縄では行かず
すぐに押し倒されてしまった。
もう駄目だと諦めかけたその時だった。

「何ヲしている!」
大人達の向こう側から大声が大人達の動きを止めた。
ざわつき始めた大人達の隙間から見えたのは傭兵達 “ARI”

「取リ押さえろ!!」
その一声により一斉に傭兵達が大人達を取り押さえ始めた。
僕はその隙に大人達の動揺を抜け出し広場へ向かった。
必死に無我夢中に走り抜けた。
意味もわからず何が起きているのかもわからず。
ただ自分が助かる様に、気づいた時には息を切らして老人の家の前に立っていた。

そうだ、老人は。
老人の自宅の扉を開くもそこは、抜け殻となっていた。
整理する時間もなく自分の名前を理性を失った叫び声が聞こえた。
「ノヴァ!!!」

振り返ると、血相をかえて美しかった髪も乱れ。
殺気を放った彼女は自分の知っている彼女(ユーリ)ではなくなっていた。

彼女が自分に迫ってくる恐怖の余り、
また必死で僕は逃げた。
ゴーストエリアは街灯の光がなく真っ暗闇を只管行く当てもなく必死に走った。

追ってくる足音。
声帯が裏返るも尚叫び続けるユーリ。

必死に逃げるも体力の限界を迎え始めていた。
足も限界に達していた。いつしか痛みを感じる。
必死に振っていた腕も痛くて振るのも抑えていた。

捕まった方が楽なのではないのかと思い始めた。
僕は諦め立ち止まった。
きっとこれは悪い夢なんだ。早く醒めろと目を閉じた。
その瞬間だった。
「こっちだ!」と住宅の間から声が聞こえ僕はその声を頼りに走った。

暗闇の中手探りにその声のした方へ走った。
すると、すっと僕の身体は何処かへ落ちた。

ふと我に返ると身体は横になっていて
呼吸は荒れ鼓動は自分以上に早まっていた。
体中が痛くゆっくり身体を起こすとそこは、大人の男性一人分の天井の高さの空洞になっており
奥の方まで灯りが灯っている。

恐る恐る足を進めていくと、次に現れたのはゴールの見えない上へと続く螺旋階段だった。
手すりを持って一段一段休みながら登っていく。
いつしか呼吸も穏やかになり、すーっ息を吐いた。

兎に角。
一段一段確実に昇った。
一段一段が、僕の頭に一つ一つの感情や言葉が胸を射す。
これは夢ではない事。どれ程夢ならば良かっただろうかと。
行き場のない感情が込み上げていた。

どれ位の時間が経ったのか、分からぬまま
階段は未だに続いていた。
休憩を挟みつつ、また上り、また休憩をし、また上り。
数える事を忘れた頃。
いつの間にか螺旋階段は、縦階段へと変わっていた。
そしてふと辺りを確認すると自分が今何処にいるのかすぐにわかった。

街を見下ろせるあの場所に辿り着いていた。

ブザーが鳴り響くも街は静かなまま。
ユーリや老人はどうなったのだろうか。住民達も。
急に現実に戻された僕は、再び階段を上り始めた。

残りの階段を上り切り行き止まりになった。
一気に絶望を味わった。
やっと此処まで辿り着いたのに。

行き止まり?

膝を着き立ち尽くし、目を閉じた。
今までの出来事が走馬灯の様にフラッシュバックしてくる中
真っ暗な中、一縷(いちる)の光が差すように見えた。

その光が見えた瞬間、初めてみたあの光を思い出した。
そうだ!何処かに外から漏れた光があるはずだ。
僕は、壁を叩いて擦ってその場所を確かめた。
すると僅かだが向こう側から光が漏れている隙間を見つけた。
必死にそこに最後の力を振り絞り体当たりすると、壁が動き身体ごと回転し
気づくと壁の向こうに放り出されていた。

身体を起こし、辺りを観察すると
先程の場所とは違い電気はチカチカと点滅していて
壁は朽ち果て、手すりは錆び切っている。
そして何よりも鼻に着く匂った事もない悪臭が、疲れ切った身体に更に疲労を与えた。

恐る恐るゆっくり先へ進むと見た事もない資料。
そして機械が散乱している。
機械の間を潜り抜け更に奥へと進んで行くと、ある扉に辿り着いた。

ドアノブに手をかけ、ゆっくりとその扉を開くと
そこは誰かが使っていただろう部屋だった。
しかしここもありとあらゆるものが散乱している。
入り込み辺りを捜索する。
すると崩れ落ちた棚の奥から物音が聞こえた。

誰!?とその音に向けて放つと
真っ暗闇の中で大きな影が動いた。
その影が、ゆっくりとこちらへ向かってくる。
その影からは、酷く悪臭がした。
点滅している電気がその正体を明かす。

大人と同じ身長ではあるが、明らかに今まで見てきた住民達とは姿が違う。
何故なら、皮膚は赤く腐り切っており
顔も潰れていて、表情がわからない。

「貴方ですか・・・。僕を助けてくれたのは。」









『灰になった世界で』









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2013年10月31日 ONEP.jp

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ONEP.jpでは、オフ会を開くことやサイトの外で実際に会うことを禁止します。他の サイトでも、そういった危険性があることを知っておいてください。

モバゲーより流用

2013年8月5日 ONEP.jp